Aさんは子宮筋腫の手術をうけ、その際両側の卵巣もとる。その一ヶ月後から、のぼせ、不眠などの症状を訴えるようになり、手術から約一年後、ほてり、発汗がひどいとのことで来院した。この一年間は何回も救急車で他の病院に運ばれたとのことであり、血液、心電図など検査上は異常を認めず、その度に更年期のためだと言われ続けてきた。 Aさんの生活背景について尋ねると、夫は糖尿病のため食事療法中であり、夜十時には先に寝る。Aさんはきちんとしないと気持ちが落ち着かないので,全ての家事を終え十二時ごろに寝る。そして朝四時には起き、夫、長男とその嫁、次男の四人分の弁当を作る。三年前から性交渉は無いとのことだが、一見してそのことで特別悩んでいる様子はない。 Aさんは家事など家の中のことは自分の仕事と心得、役割意識に忠実であり、大家族のために献身的に働くという長年の習慣は軌道修正が困難なほどに彼女の体と一体化しており、自分自身の原点であるはずの夫婦関係を風化させていることに気付かず、夫も病気のためにそのことを問題にしない。. 外来診療の折りに見せられた患者さんのメモから日曜日の夜、長い一日が終わり、二人で向き合いたいと思った。・・・夫はさっさと寝てしまった。朝になって夫が求めてきた。食事、子供の弁当の世話に急き立てられ、私はそんな気持ちになれない。二人の性愛は噛み合わない。・・・満たされない日々が流れ・・・夫は酒を飲んで楽しい気分で深夜帰ってきた。求める夫、私はその気になれない。「駄目よ!」「時間は取らせぬ!」この一言で私の心は凍りついてしまった。(君は何時になったらこのパターンから抜け出せるのか、展望のない日々・・・) 「男は仕事、女は家庭」の性別役割の生き方は男性優先の意識を刷り込み、性愛の場面をも支配してしまう。その呪縛から解放されない夫婦の悲哀がとても歯がゆい。. Dさんは某私立大学の要職にある方に請われ21歳の時から秘書を務め定年まで大学職員として働いてきた。Dさんは外陰部の異常、違和感を訴えて受診したが、それまでに何人かの医師を転々としてきた。診察しても特に問題と思われるほどの所見はなかった。ホルモン補充療法を薦める一方で、本人の希望もあって外用薬を処方した。定期的に通院するようになって、ある時ふと漏らした一言は、夫以外の男性とのセックスの後で外陰部に異常を感じ心配で外用薬を塗ると言う。 Dさんは25歳の時職場結婚をし、その二年後長女を出産したが、そのころから夫婦仲は傾いていった。ほとんどセックスレスの状態であったが、職場での立場もあって離婚はできないままに長い時間が流れ、Cさんは五十歳を過ぎてまもなくの頃、ある男性と出会い恋仲になった。「私はずるいのかもしれない」とも言いながらも、ようやくお互いの心の領域に踏み込まずに夫との共同生活ができるようになった。Dさんはいままでのいくつかの出来事を繋げていくと夫は同姓愛者であったと確信できるようになった。仮面夫婦の背景には多様な性を認めない社会の中に生きる男女の深い悲しみのエピソードが隠されていた。 これらのケースは診療の中で出会った患者さんの一端ではあるが、性はまさに夫婦の生き様、家庭、家族関係のなかに、人間生活が織り成すすべてと深く関わっていることがわかる。性別役割分業の生き方が男女の性を分断していく様、男性主導の一方通行的性が女性の性成熟を阻み男女の性が乖離していく様、また男性自身も勃起、射精のパターンを越えられぬまま、病気や老化による女性側の一方的撤退などから自らの行く手を阻んでいく様、多様な性の生き方が市民権を得られない社会に生きる人間の葛藤、欺瞞、裏切り、男女の闘い、悲哀のシンフォニー・・・が交錯し、性は容易には語れない、あまりに重すぎるテーマであり、結婚という社会制度の中で男女がよりよく性成熟していくには、実に幾多の課題がある1)ことを教えている。. 日本の家族は夫婦の伴侶性が乏しいといわれてもきたが、夫婦の性の調査は極めて少なく、ほとんどが性的欲求やセックスの回数、生理的機能についてのデータなどで、男性側の視点からのものである。性は関係性を中核にして成り立つものであり、社会的、歴史的にも男性主導の社会を軸として展開されてきた日本においては、一方で戦前からの家族制度の縛りが男女の心の深層に沈殿しており、そうした男女の不平等、非対等性に向き合わなければ、性の問題の解決のみちすじ、方向性は探れない。日本人男女の関係性に大きく踏みこんだという点で、一九九九〜二千年に行なわれた荒木らセクシュアリティ研究会の「熟年世代のパートナーシップと性」の調査2)3)は画期的であり、その結果は極めて注目される。 熟年世代では性交渉が一年間全くなかった人は、男女とも約四分の一を占め、その性交停止年齢は女性五十二歳、男性五十七歳であり、女性は閉経後ほどなくである。またその理由について、女性は「自分の関心の喪失」( 更年期、性の相談 (「現代のエスプリ 性の相談」(平成16年1月1日発行)に掲載) 「前編」 一、更年期とセクシュアリティ.
【更年期や閉経後の性交痛】濡れない原因、対処法や治療法など性交痛の悩みを女医が丁寧に解説。
女性の閉経とセクシュアリティ | もっと知ってほしいがんと生活のこと 新しい研究は、閉経に伴うホルモンの変化は女性のセックスライフ(性生活)が年齢とともに減退する理由の一部でしかないことを示している。確かに、多くの 考えようによっては、閉経後は避妊の必要がないわけで、束縛なくセックスライフを楽しむことができます。 しかし日本では、夫婦間の性交頻度は年を取るに従って減少し、45 セックスの頻度が閉経時期に影響するってほんと? | 産婦人科医・重見大介の本音ニュースレターホーム 記事 スレッド 概要. 閉経後に性欲が増す可能性もあります。 閉経後、女性ホルモンの分泌は減少するため、男性ホルモンが相対的に増加することが原因のようです。男性ホルモンは男性にしか分泌されないと誤解される方もいらっしゃいますが、女性の体内でも男性ホルモンは分泌されます。そして、この男性ホルモンは性欲に大きく関わりのあるホルモンです。体内で相対的に男性ホルモンが優位となることで、閉経後に性欲が増すこともあると言われています。. 閉経前後の女性に多く見られるのが、膣の潤い低下による 性交痛 です。痛みが起こることで快感や安らぎを得ることが難しくなり、セックスそのものが苦痛になってしまうことも。. なお、これは「自然閉経」の場合です。中には、子宮筋腫やがんの治療で、閉経前に左右の卵巣を摘出する場合もあり、その場合には 「人工的な閉経」 として通常より早めに閉経となります。. 第51回/【更年期後の膣ケア】膣内の善玉ラクトバチルス乳酸菌が減少。含有製品によるケアで膣免疫を高められる もしも性欲が閉経前後でなくなるとすれば、その要因として性交痛などがあげられます。 痛みからセックスを遠ざけていくうちに性欲が減少していくことが原因です。セックス中に違和感や痛みを感じた時は、パートナーと話し合って潤滑ゼリーを使用するなど対策し、無理のないセックスライフにしましょう。.
閉経後のセックスには潤滑ゼリーなど使用を
更年期や閉経後の性交痛は、原因としてエストロゲンの減少だけでなく、子宮腫瘍や卵巣腫瘍の可能性があります。腟炎や性病の可能性も否定できません。婦人 閉経前後は子宮や膣(腟)の萎縮によって性交痛が起こる人も多いものの、セックスが不可能になるということはありません。 何歳までセックスができるかは 新しい研究は、閉経に伴うホルモンの変化は女性のセックスライフ(性生活)が年齢とともに減退する理由の一部でしかないことを示している。確かに、多くの提携媒体 コラボ実績 提携媒体・コラボ実績. HALMEK up編集部 HALMEK up編集部 「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。 ライター記事一覧. ここだけの話 恋愛と性. 埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。 年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。 女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。. 大人髪のトリセツ~白髪からスタイリングまで! ヘアケアお役立ち情報まとめ~. おでかけ女史組 美賢者・弓気田みずほさんが考えるワンランク上のヘアケア体験。「なりたい髪になるのは難しいことじゃない」. デリケートゾーン の新着記事. デイリーケアとして、保湿ジェルを使うことをおすすめしています。 乾燥感は口渇感とよく似ている、不快な症状です。朝晩のお手入れにより、日常の違和感がなくなり、性交時の疼痛も和らぐことがあります。当クリニックの取り扱っているエビネセラム、エビネジェルもお勧めです。. セックスの頻度が閉経時期に影響するってほんと? 閉経は女性なら誰しもに訪れるもの。ただ、その時期が自分はいつなのか、気になりますよね。今回は、セックスの頻度が閉経時期に影響するかどうかを、エビデンスをもとに解説します。. 情報をお探しですか? 電話 WEB予約. 上記の症状を「更年期障害」といい、閉経に向かって卵巣機能が低下することによって起こります。 そのため、これらの病状や月経の変化をヒントにして、閉経のおおよその見当をつけることは可能です。「月経周期が不規則になる」や「経血量が少なくなる」といったことが起こってきたら、更年期が始まってると捉えてもよいかもしれません。 また、閉経に至る年齢ではないのにこれらの症状がある場合は、「月経前症候群 PMS 」や「続発性無月経」である場合も考えられます。 症状が気になる際は、医療機関で相談しましょう。. 更年期にエストロゲンの分泌量が低下すると、膣の粘膜を保護する分泌液が減り、 膣が乾燥しがち に。また、膣が萎縮しハリも失われてしまいます。. 一般的に、低用量ピルは40歳くらいまでの服用が望ましいです。それ以降は、血栓症など副作用のリスクが高くなり、安全に服用できません。 40歳を超えたからといって、月経困難症が急に軽くなるわけではありませんので、「低用量ピルをやめたくない」とお考えになるのは理解できます。40歳以降は、月経困難症や子宮内膜症の治療で使用する黄体ホルモンのみが含まれた「ジエノゲスト」や、子宮内に装着するミレーナの使用は可能です。. さて、気になる 「セックス(広い意味での性行為)の頻度と閉経時期の関連」 はどうだったのでしょうか。. おでかけ女史組 閉経期のデリケートゾーン事情。トラブルにならないように「快適に過ごすケア」を. 第51回/【更年期後の膣ケア】膣内の善玉ラクトバチルス乳酸菌が減少。含有製品によるケアで膣免疫を高められる 診療時間を知りたい アクセス情報を知りたい 保険診療での検査結果を知りたい 婦人科美容を知りたい 美容医療を知りたい. share この記事をシェア. ホーム > 更年期 > 膣ケア・尿漏れ > 閉経後もセックスはできる? 性交痛は婦人科で治療できるの?. 第50回/更年期後に重要な「骨密度検査」「生活習慣病検査」は自治体の検診でも可能。『1に検診、2に検診』を心がけましょう! 潤いや弾力がなくなっていくと、膣が「萎縮性膣炎」のように炎症を起こしやすくなります。 萎縮性膣炎の主な症状として、以下のようなものがあげられます。. 女性ホルモンとは ニオイ フェムケア 閉経 Q&A. また、 デリケートゾーンの乾燥は臭いやムズムズ感、かゆみ につながるため、乾燥が進む閉経前後からは、デリケートゾーンもしっかり保湿するのがおすすめ。. すでに登録済みの方は こちら. 性交時、潤滑ゼリーを塗布するのも手軽な方法としておすすめです。 指先に潤滑ゼリーをつけて腟に塗るか、 男性がコンドームを着用したあとで、先端につけて使ってください。摩擦により生じる痛みを和らげることができます。ウォーターベース、シリコンベース、オイルベースなどさまざまな種類がありますので、好みに合わせて使ってください。大切なのは、腟分泌液の成分に類似した粘着度があることです。. 産婦人科医・重見大介の本音ニュースレター 登録 ログイン. 前の記事 第18回/更年期のつらいホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)の原因と対策を婦人科医が解説!「…. 大陰唇は、脂肪でふっくらとした左右一対の部位で、外性器に含まれる部位の1つです。 セックス時の衝撃から守る役割がありますが、閉経後は大陰唇の組織が萎縮したり、皮膚にたるみが出るようになります。エストロゲンの減少は、大陰唇にも影響を与えており、. こういった更年期に起こるフェムゾーンのトラブルを GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群) といいますが、GSMには腟内フローラの状態が深くかかわっています。セルフケアによって良好な状態に保つことは十分可能ですが、ケアのしすぎも最近よく見られます。洗いすぎ、こすりすぎなど、特に気をつけてください」 (フェムケアの方法についてはこちらの記事参照). とくに更年期になると、性交痛に関するお悩みは目立ってきます。 性交痛があると、痛みへの不安からさらに緊張して痛みが増してしまうといった、悪循環が生まれてしまうかもしれません。性交痛を我慢せず、早いうちに対処しましょう。. 無料で「産婦人科医・重見大介の本音ニュースレター」をメールでお届けします。 コンテンツを見逃さず、購読者限定記事も受け取れます。.